コラム

【多重下請け構造】の実態と改善策 -トラックドライバーを守るための労働環境改革が始まります- | ナカノ商会 輸送サービス

2025.04.09

物流業界の多重下請け構造とは?

業界の背景と歴史:物流二法から見る規制と経済的要因

物流業界は貨物の輸送や配送業務を担う社会インフラとして重要な産業でありその歴史は長く、貨物自動車運送事業法や物流二法(貨物自動車運送事業法、港湾運送事業法)などの規制のもと、厳格なルールが定められています。

多重下請け構造は、大手物流会社や元請け会社が荷主から依頼された貨物の輸送を複数の下請け会社に再委託する仕組みに起因すると考えられています。
この構造が常態化することで、運送事業者に適正な運賃や料金が支払われない、事故やトラブル発生時の責任の所在が不明確になるなど、多くの問題が生じています。

これらの問題を解決し物流業界の健全化を図るため、政府は貨物自動車運送事業法を改正し、2024年4月から施行しました。この改正により、元請け事業者は実運送体制管理簿の作成が義務付けられ、
荷主は実運送体制を知る権利を有することとなりました。

本コラムでは、【実運送体制管理簿の作成義務化】について解説します。

ナカノ商会では実運送体制管理簿についてまとめた資料を公開しています!
資料ダウンロードはこちら☟

物流業界の多重下請け構造とは:元請け・下請けのヒエラルキー

物流業界における多重下請け構造は、元請けから一次下請け、二次下請け、さらにはそれ以降へと業務が委託される階層構造であり、その実態は現場のドライバーやトラックを利用する事業者に深刻な影響を与えています。

多重という言葉が示すように、複数の段階にわたる複雑な委託や契約が行われることで、利用者が実際に受けるサービスの質や運賃の価格が不透明になるだけでなく、様々な問題が生じています。

多重下請け構造が常態化することにより、運送コストの削減を最優先とした無理な配車スケジュールが組まれたり、
ドライバーが法定で定められた休憩時間を確保できなかったりといった問題が顕在化しています。

さらに、下請け階層が深くなるにつれて運賃が不当に低下し、ドライバーの長時間労働や低賃金・安全対策の不足などを引き起こす要因となっています。

多重下請け構造が引き起こす問題とリスク

トラック運転手の労働環境:運賃低下や過重労働の現状

多重下請け構造の最も深刻な問題は、トラック運転手(ドライバー)をはじめとする労働者に過大な負担がかかる点です。
実際、下請けに委託された現場では、運賃の不当な低下や過度なコスト削減・長時間労働・燃料費の高騰など、
運送業務に関連する様々な負担が下請けに集中する傾向があります。

利用運送事業者が効率化や業務の合理化を目的としてシステムを活用し、配送作業や配車管理を行っている場合でも、現場の安全管理や労働状況の適正な把握が十分に行われていない事例が見受けられます。

その結果、トラック事故の増加・荷主からの依頼内容と実際の配送業務の乖離・労働環境の悪化など、
事故やトラブルのリスクが高まっています。これらの問題に対して、適切な対応策や救済措置が十分に講じられていない状況が続いています。

是正策と法改正による対策の動向

実運送体制管理簿の作成を義務化

近年、物流業界の多重下請け構造に対する社会的な批判が高まる中、政府や行政は貨物自動車運送事業法をはじめとする関連法令の改正や規制の撤廃、そして業界全体の透明性向上に向けた措置を強化しています。

2025年4月には【実運送体制管理簿】の作成が元請事業者に対して義務化されます。
実運送体制管理簿を遅滞なく作成し、運送完了後1年間事務所に保管、また荷主から開示請求があった際には、
速やかに閲覧、または謄写の提出を行わなくてはいけません。

ナカノ商会では、実運送体制管理簿の概要から作成方法まで丸ごとまとめた資料を無料公開中!
資料ダウンロードはこちらから☟

会社概要

株式会社ナカノ商会
本社所在地:
〒134-0083
東京都江戸川区中葛西3丁目18番5号
TEL: 03-5667-8877 (代表)
FAX: 03-3531-8321
創立:昭和63年8月(1988年)

チャーター便サービスの詳細・見積りはこちらから!