2024年の物流業界では、中継輸送がますます重要な役割を果たすようになっています。中継輸送とは、主に長距離トラック運送において、特定の地点で貨物を積み替えたり、ドライバーの交代を行う輸送方式です。これにより、ドライバーの労働負担を軽減し、効率的な運行を実現します。本コラムでは、中継輸送の概要、メリット・デメリット、具体的な導入事例やその後の課題と対策について解説します。

1. 中継輸送の概要と特徴

中継輸送は、従来の長距離輸送とは異なり、トラックドライバーが長時間労働を避けるために、途中の拠点で貨物の積み替えやドライバーの交替を行います。例えば、1000kmを超える長距離輸送では、ドライバー1人で全行程をカバーするのではなく、特定の中継地点でドライバーを交代させることにより、長時間労働を防ぐことが可能です。

中継輸送の形態

中継輸送にはいくつかの方式があります。主なものとしては以下の2つです。

• スワップボディ方式
  車両の積載部分のみを交換する方式で、トレーラーを中継地点で積み替えることにより、ドライバーはそのまま次の運行を行います。この方式は、車両の無駄な運行を防ぎ、貨物の効率的な移動を実現します。
• ドライバー交替方式
  これは、トレーラーはそのまま使用し、ドライバーのみを交替する方式です。これにより、長時間の運転を避け、ドライバーの健康リスクを軽減します。例えば、長距離輸送の途中でドライバーを日帰りで交替させることができるため、労働環境の改善につながります。

2. 中継輸送のメリット

中継輸送には、物流会社にとって多くのメリットがあります。特に2024年には、国土交通省が積極的に推進していることから、さらに導入が進むと予想されています。

労働環境の改善

長時間労働が常態化しているトラック運転手の労働環境を改善するのが中継輸送の一番のメリットです。ドライバーが中継地点で交代できることで、時間外労働の削減や健康リスクの軽減が図れます。これにより、人手不足の深刻化が進む物流業界においても、ドライバーの確保が容易になり、求人の難易度が下がります。

輸送効率の向上

中継輸送を導入することで、無駄な運行や荷役作業が減り、トラックの運用効率が向上します。例えば、空車での長距離移動が不要になり、荷主からの依頼に対して迅速に対応することができるようになります。また、ルートの柔軟な設定が可能となるため、渋滞や事故などのトラブルにも柔軟に対処できる点が評価されています。

3. 中継輸送のデメリット

一方で、中継輸送にはデメリットも存在します。物流会社が導入する際には、このデメリットを理解し、対策を講じることが重要です。

設備やシステムの導入コスト

中継輸送を行うためには、専用の中継地点やITシステムの導入が必要となります。これらの設備を整えるためのコストが初期投資として発生します。また、運転手の管理を効率化するためのシステム運用費も考慮しなければなりません。トラクターやトレーラーの導入コストも併せて考えると、導入時には大きな投資が必要です。

中継地点での荷役作業時間

中継地点での荷役作業には時間がかかる場合があります。特に貨物の積み替えが必要な場合、作業効率が低いとリードタイムが延びてしまうことがあります。これにより、納期の遅れや荷主の不満が生じる可能性があります。荷役作業の効率を高めるための自動化技術や、作業員の熟練度向上が対策として重要です。

4. 中継輸送における課題と対策

中継輸送の導入には、いくつかの課題が存在しますが、これらに対応することで、さらなる効率化を実現することが可能です。

課題1：中継地点の整備

中継輸送の最大の課題は、中継地点の整備です。特に地方では、中継拠点を設置するための土地の確保が難しい場合があります。また、中継地点を設ける際には、駐車スペースや荷役設備の設置も必要です。これに対しては、国や地方自治体と連携し、補助金や助成金を活用することが有効です。

課題2：ドライバーの管理

中継輸送では、ドライバーの労働時間や健康状態の管理が非常に重要です。特に、時間外労働の規制や健康リスクへの対策が求められます。これに対しては、ITシステムを活用した労働時間のリアルタイム管理や、定期的な健康診断の実施が推奨されています。

5. ナカノ商会の取り組み事例

当社ナカノ商会中継輸送の導入事例は日本国内外で増加しています。特に、大手物流企業が取り組んでいる事例は、他の事業者にとっても参考になるポイントが多いです。

静岡県磐田市拠点を中継地としたドライバー交代方式

関東↔関西間の輸送では、トラックの長距離輸送においてドライバーの交替を積極的に導入しています。これは、ドライバーが中継地点で日帰り運行を行い、労働負担を軽減しつつも、効率的な運行が可能となる仕組みです。同社では、トラックの台数を増やすことなく、輸送効率を大幅に向上させることができました。

6. 今後の中継輸送の展望

2024年以降、中継輸送はさらなる進展が期待されています。特に、自動運転技術との連携や、ITシステムの高度化が進むことで、より効率的な輸送が実現するでしょう。また、ドライバーの人手不足が深刻化する中、企業はより一層の労働環境の改善に取り組む必要があります。

まとめ

中継輸送は、長距離輸送におけるドライバーの労働環境を改善し、効率的な輸送を実現するための重要な方式です。そのメリットは多くありますが、導入には課題も存在します。これらの課題を克服するためには、ITシステムの活用や、適切な中継地点の整備が重要です。今後の物流業界において、中継輸送の普及は、業界全体の効率化と持続可能な成長を促進するでしょう。

以上が、中継輸送に関する詳しい解説となります。最新の導入事例や対策については、自社の取り組みに参考にしてみてください。

参考リンク

• 国土交通省 中継輸送ガイドライン
• 国土交通省 中継輸送取り組み事例