路線便の料金が高騰する背景を解説
「安全に、しかも安く届けたい」というのは、メーカー物流担当者の共通の課題ではないでしょうか。しかし、近年の物流業界では路線便の料金が高騰しており、調味料の輸送もまたコスト削減が難しい状況にあります。
路線便の仕組みとは?
路線便は、全国各地を定期的に走るトラックが、複数の荷主から荷物を集め、倉庫や配送拠点を経由して納品先まで輸送するサービスです。大きな特徴は、複数の荷主が同じ便を利用することによって、荷物が少なくても利用しやすいという点にあります。
メリット
- 全国対応の配送網で広範囲に届けられる
- 小口荷物に対応しやすい
デメリット
- 料金が割高になりつつある
- 時間指定が難しい
- 積み替えによるリスク(品質やロットの管理)
なぜ調味料の路線便は高い?その背景
調味料の路線便の料金が高くなる背景としては、以下のようなものが挙げられます。
- ドライバー不足:2024年の働き方改革関連法の影響で、労働時間の規制が強化され、ドライバーの稼働時間が限られています。
- 燃料費の高騰:輸送コストの主要因となる燃料費が上昇し、それが料金に反映されています。
- 積み替え作業の増加:調味料輸送の場合、衛生管理や品質保持のため、追加の作業が発生しコストが上がります。
- 混載が困難:荷物によっては香りに敏感な食品(お菓子、果物、パンなど)との混載を避ける必要があり、柔軟な配送が難しい。
これらの課題は、安全に、しかも安く届けたい物流担当者にとっては無視できないポイントですよね。
調味料輸送の特徴
調味料の輸送においては、荷姿や品質・衛生面の管理が特に重要です。調味料はその性質上、鮮度を保ちながら他の荷物との兼ね合いを考えて輸送する必要があるため、その特性に応じた輸送方法を選ぶ必要があります。
荷姿
調味料は様々な荷姿で配送されます。たとえば、袋、ボトル、缶、パレットなどが一般的です。中身が液体の場合は、液漏れへの注意が必要です。また香りや匂いの強いものは他の荷物に風味の劣化や匂い移りといった影響が出る懸念があるため、香りに敏感な荷物との混載を割ける必要があります。
さらに、多くの調味料に共通する特徴として、その重量の大きさが挙げられます。トラック輸送では「重量制限」と「容積制限」が設けられていますが、重量の大きな荷物は先に重量制限に達してしまうため、トラックの積載効率が下がることがあります。そのため、自社製品の荷姿に対応できる運送業者を選ぶ必要があり、選択肢が限られてしまうこともあります。
品質・衛生管理
調味料の品質を保つためには、迅速で確実な輸送が求められます。もし輸送中にトラックが遅れると、品質に悪影響を与える可能性があり、これが最終的に売上やブランドへの影響を及ぼすことにもなりかねません。さらに、調味料をはじめとする食品には衛生管理がつきもの。食品衛生の知見をもった運送業者を慎重に選ぶ必要があります。
調味料輸送を効率化する新たな物流サービスとは?
こうした課題を解決する方法として注目されているのが「共同配送」というサービスです。これは、複数の荷主が荷物をまとめて輸送する点では路線便と似ていますが、以下のような違いがあります。
路線便
- 集荷:荷主が自社で指定した集荷場所に荷物を出し、物流会社が定められたルートで回収します。各荷主ごとに集荷され、決まったスケジュールに基づいて配送が行われます。
- 配送:集められた荷物は、決まったルートに沿って配送されます。複数の荷主の貨物が同じトラックに積まれて、同じルートで効率よく配送されます。
共同配送
- 集荷:複数の荷主が協力し、共通の集荷地点や複数の集荷地点から荷物を集めます。各荷主の荷物を集めて一緒に配送するため、集荷の調整が必要な場合があります
- 配送:集められた荷物は、複数の荷主のものが混載されて共通の配送ルートを使って配送されます。荷主同士で配送スケジュールやルートを調整し、効率的に配送するため、柔軟性が高く、コスト削減や運行効率が向上します。
路線便と共同配送の違いを理解し、それぞれの特性を活用することが、調味料の輸送における課題解決の重要なポイントとなります。
共同配送のメリットとは
共同配送を利用すると以下のようなメリットがあります。
①コスト削減: 複数のメーカーの荷物を同一の納品先ごとにまとめることで、配送コストを最適化。
②配送効率向上: 荷物を効率的にまとめ、荷待ち時間を削減。配送先の混雑も緩和。
③納品スピードの向上: 配送センターでの仕分けにより、迅速な配送が実現。
④営業力向上: 効率的な配送が取引先や顧客の満足度を高め、営業力の強化に繋がる。
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調味料の荷主企業が考えるべき、共同配送の導入条件とポイント
共同配送を成功させるためには、以下の条件を確認することが重要です。
配送エリアとルートの最適化
共同配送を導入する場合、配送エリアやルートが重要な要素となります。企業によっては、配送先が複数のエリアにまたがる場合もあります。こうした状況では、配送可能なエリアが広く、効率的に運行できる業者を選ぶことが求められます。
柔軟な納品対応
調味料は品質と安全性が命です。そのため、共同配送サービスを利用する場合、納品時間の指定や衛生管理の行き届いた業者を選ぶことが必要です。特に、においに敏感な荷物との混載を避けなければならない調味料を運ぶ場合には、それに対応できる業者を選びましょう。これにより、製品の品質を保ちながらコスト削減が可能になります。
コスト削減と導入条件の確認
共同配送を利用する際には、荷主企業にとって最適なコスト削減策を提供できる業者を選ぶことが重要です。共同配送には複数のタイプがあるため、事前に配送条件を確認し、見積もりを依頼することで、最適なサービスを選択しましょう。
まとめ
調味料の輸送課題を解決するには、路線便の利用だけでなく、共同配送などの新たな物流サービスの活用が鍵となります。
輸送コストを抑えつつ、効率的で柔軟なサービスを選ぶことが、今後の競争力向上につながるでしょう。